
ごあいさつ Greeting
瓢亭は伝統や暖簾に守られ、400年の歴史を育んでまいりました。
不変の存在に見える老舗ですが、時代の淘汰を幾度となく切り抜け、新しい挑戦をしてきました。
名物の瓢亭玉子をはじめ、懐石料理や朝がゆ、お弁当などは、時代に沿いながら店の遺産に手を加え、発展させたもので、今では瓢亭のゆるぎない味としてあります。
常に自然体で背伸びをせず、伝統を踏まえながら茶道の精神を守りお作りする、京料理の真髄をお楽しみ下さい。
探泉亭、明治中頃に建築された四畳半の茶室である。
目を引く意匠は三角形の袋棚。朱塗りの縁のある花頭窓には酸漿の香合。
内部は細目の寒竹で仕上げられている。
「くずや」とは草葺き屋根のことである。
この茶室は、四畳半と二畳台目で、瓢亭創業時より残っている貴重な建物である。
お料理 Cuisine
別館 Annex
朝がゆお弁当仕出し Asagayu
Obento
Catering
※季節により食材が異なる場合がございます。
おみやげ Omiyage
※お店でのみ購入可能(要予約)
小史 History
花洛名勝図会
幕末の元治元年平塚瓢齋によって「花洛名勝図会」という書物が刊行されている。その頃には、瓢亭はすでに京の名勝の一つに数えられていて、東山の部分に「南禅寺総門外松林茶店」として、現在の店に近い姿が描かれている。名勝図会には、南禅寺の総門から本坊までは松林が広がり、瓢亭はその参道沿いで丹後屋という湯どうふ屋と隣り合って店を営んでいる様子が描かれている。
図会の説明書きにも、瓢亭の半熟鶏卵、丹後屋の湯豆腐が名物とある。ちなみに東隣の丹後屋の跡は現在の無鄰庵にあたり、明治の元勲、山縣有朋の別荘として使われていた館である。
瓢亭の創業は絵図による記録よりもはるかに遡る。四百年ほど前、南禅寺境内の門番所を兼ねて、南禅寺総門外松林茶店(腰掛茶屋)として、のれんを揚げたのが始まりと伝えられている。当時から立ち寄るお客に、茶と菓子だけでなく煮抜き玉子を提供してきた。
それが今に伝わる名物、一子相伝の「瓢亭玉子」である。当時の姿を留めているのが、供待腰掛のある玄関の佇まい、草葺きの棟「くずや」、庭師の植熊が手がけた庭と言われる。
時を経て時代は移り、明治の中頃。一幅の軸が往時の瓢亭の雰囲気を物語っている。
山縣有朋とともに明治維新で活躍した品川弥二郎が瓢亭で、酔いにまかせ口に筆をくわえて書いた瓢の中に一子相伝半熟鶏卵可愛い殿御に食わせたいのみ人知らず やじろ題す口拝と記した。
このように瓢亭は、明治維新後、政治の中枢を担った元勲たちを皮切りに、大正、昭和と常にその時代を支え、彩った文化人、茶人、また経済人が繰り返し訪れる料亭であり続けた。内外の賓客も迎えたが、同時に京の旦那衆もまた、この草庵風の瓢亭の域を愛し、折あるごとに訪れている。多くの料亭が宴会で賑わう性格の店に変化していく時、瓢亭にもそちらへの道があったかもしれない。
しかし、その分かれ道には必ず、この草庵風な建物と庭が無言の抵抗をし、また、伝統的な京料理を地道に出し続け、茶懐石の看板を頑固に護る亭主がいた。現在の瓢亭の玄関には昔と変わらず構えた門もなく、小旗が風にゆれ、床机には煙草盆、脇には茶壺、水がめが置かれ、古びたわらじが掛けられている。
ギャラリー Gallery
ごあんない Information
アクセス Access

瓢亭 京都市左京区南禅寺草川町35 TEL : 075-771-4116